Outlines

「よい理論ほど実践的なものはない 」
Nothing is so practical as a good theory.
(クルト.レヴィン Lewin, K.)

「そもそも人の勇力はただ読書のみによりて得べきものにあらず。読書は学問の術なり、学問は事をなすの術なり。実地に接して事に慣るるにあらざればけっして勇力を生ずべからず。」(福沢 諭吉)


ゼミの到達目標

授業中もしくは授業時間外の様々な活動を通して、独力で重要と思われる問題を発見し、その問題を解くために情報の収集や議論を行い、その過程で得られた結論を論文の形に結実させて、第三者に明確に表現するために必要な技術を習得します。

「環境システム学ゼミナール1」(3年前期・必修科目)⇒基本的な文献の輪講&ディスカッション、文献の探し方や読み方などを学びます。文献調査などを通して、“眼から鱗が落ちる”ような研究テーマを発掘します。
「環境システム学ゼミナール2」(3年後期・必修科目)⇒3年前期で発掘した独自研究テーマを育みます。卒業研究のための詳細な研究計画書を作成します。予備調査を行います。
「卒業研究」(4年前期・必修科目)⇒研究計画に基づき、卒業研究を実施。「卒業研究最終成果報告書」(ゼミナール論文)としてまとめます。
「卒業論文」(4年後期・選択科目)⇒学会等で発表可能なレベルの学術価値がある卒業論文を完成させます。学科全体で実施する卒業論文最終発表会で威風堂々とプレゼンすることが大いに期待されます。


テーマの決め方

研究を進める上で最も重要なことは、研究に取り組む学生自身の問題意識です。テーマに対して情熱(パッション)を感じ、眼から鱗が落ちるようなテーマ(の種)を発掘するために、学生とじっくりと時間をかけて話し合いながら、本人の希望を最大限に尊重して珠玉なテーマを選定します。なお、テーマを大きく育てるためには、相当なエネルギーを投入してテーマに格闘すること(文献を読む、現場にいく、関係者に訊く等)が大い期待されます。


大事にしたいこと

「批判的思考(クリティカル・シンキング) 」をもって、何事も「とことん考え抜く」ことと、常識や学問の枠組みにとらわれない「Out ofbox」な見方を身に付けること。
・社会を変革し、持続可能な未来を創造するためには、理系、文系といった固定概念(境界)を打破し、無意識につくりがちな心理的リミッター(自主規制)を解除して、専門的な学問領域の境界を超えた知の融合の実践者になること。
・(授業外のイベント、講演会、プロジェクト等)誘われたら、出来るだけ断らず、巻き込まれてみる。←※犯罪、カルト宗教勧誘、マルチ商法等を除く
・変なこと、変な人、ムダなこと、袋小路にハマること(失敗)を面白がる。
・ゼミを舞台に新しい「知的冒険を愉しむ」ことに並々ならぬ決意がある人といっしょに、“答えがない”問いを探究することを楽しみたい。


研究テーマ(例)

環境心理学および行動科学等の関連学問分野に準拠した方法論に基づく実証的なアプローチを用いて、

人間-環境系システムにおける心理メカニズムの解明、環境配慮行動(Environmentally Friendly Behavior)を促進するための方策、持続可能な開発のための教育(ESD: Education for Sustainable Development)、次代の環境教育のあり方、ノンフォーマル教育、PBL (Problem-based Learning or Problem Based Learning)、環境パートナーシップ(Environmental Partnership)、越境するトリックスターズの研究などを主題とした研究テーマ。

※担当教員の専門性から、次の6つの領域から研究テーマを選定することが望ましいのですが、研究を進める上で最も重要なことは、研究に取り組む学生自身の問題意識です。研究テーマに対して情熱(パッション)を感じるようなテーマを発掘するために、学生とじっくりと時間をかけて話し合いながら、本人の希望を最大限に尊重して珠玉なテーマを選定していきます。


1.人間-環境系システムにおける心理メカニズムの解明
人間と環境との相互浸透的な関係性における動的な心理メカニズムを、環境心理学および行動科学等の関連学問分野に準拠した方法論に基づく実証的なアプローチを用いた、面接法、実験法、観察法、質問紙法による仮説生成型、もしくは仮説検証型の実証的な研究により、解明を試みます。

⇒伝統的な環境心理学では、実空間を対象とする研究がほとんどでしたが、ネット空間や実空間との境界領域における人間行動、具体的にはフィジタル(Physical + Digital)、O2O(Online to Offline)等も興味深い


2.環境配慮行動(Environmentally Friendly Behavior)を促進するための方策
アフォーダンス、場所愛着、シビックプライド、認知的不協和、自己効用、自尊心、ローカス・オブ・コントロール、ソーシャル・プルーフ、コミュニティ・エンパワーメント、インセンティブ、罰則規定、環境メディア、SNS、経済行動学的アプローチ、ゲーミング・シミュレーション(例、ゲームアプリ、カードゲーム、環境すごろく等)、身体系パフォーマンス(例、けんちく体操、プレイフル・ラーニング、インプロ等)・・・などを応用することにより環境配慮行動の促進方策を研究・開発します。

⇒リチャード・セイラー「ナッジ(Nudge)」、ダニエル・カーネマン「プロスペクト理論(Prospect Theory)」、「広告医学(AD-MED)」、「リバタリアン・パターナリズム (Libertarian Paternalism)」、松村真宏「仕掛け学」、川上浩司「不便益デザイン」、「身元の分かる被害者効果(identifiable victim effect)」


3.異分野融合、越境するトリックスターズ、パートナーシップ
丸山真男は西洋文化がササラ型であるのに対して日本文化はタコツボ型であると指摘したが、学問における専門分野はその最たるものである。要素還元論的な専門深化が学術を発展させてきたことは否定しないが、現在社会に山積する問題(例、持続可能な社会構築等)を解決するためには、タコツボ型では限界があり、諸学問が問題を共有するだけでなく解決を共有し学問融合する必要がある。アカデミック世界の主流な価値観から逸脱し、本来の学問的専門性を越境してしまう大学教員・研究者(「越境するトリックスターズ」とよぶ)が存在するが、彼ら/彼女らを対象としたライフヒストリー研究等を実施することで、異分野融合のあり方、学際研究の推進を考えるための手がかりを探る。

トリックスター(Trickster): 彼らには共通して、機知、機転、狡猾( こうかつ) さ、気まぐれ、悪ふざけなどの性格がみられる。また、この世に混乱と破壊を引き起こすと同時に、しばしば混乱のなかから未知の文化要素を生み出し、 破壊のあとにふたたび新しい秩序をもたらすという文化英雄的役割も果たしている。 出典:山口昌男(1975). 道化の民俗学, 新潮社.
パートナーシップ(Partnership): 行政、企業、NPO、専門機関、大学、市民など、異なる主体が適切な役割分担のもと、共通の目標に向かって相互に協力しあうこと。環境保全・保護活動や環境教育等の環境活動においても、多様な主体が対等の立場で協力しあうことで、それぞれの得意分野が活かされ活動の広がりや環境課題の解決が期待される。

⇒持続可能な開発目標(SDGs)を画餅に帰することなく真に実現するためには真のパートナーシップが不可欠で、マルチステークホルダー・プロセス(MSP:Multi-stakeholder Process)が肝要

⇒現代社会は、VUCA に溢れていると言われており、このVUCA 社会をサバイバルするためには、越境するトリックスターズのような、Asymmetry(尖った、変人、変態)な人材を育てることが期待される。「トランスフォーマティブ・リサーチ(Transformative Research)」、京大「変人講座」、若新雄純「創造的脱力」、笹尾和宏「PUBLIC HACK」、

VUCA:Volatility – 変動性 Uncertainty – 不確実性 Complexity – 複雑性 Ambiguity – 曖昧性


4.次代の「学びの共同体」
ESD、ポストコロナの高等教育等の次代の学びを考える上で看過できない「学びの共同体」のあり方を明らかにするために、主に社会文化的アプローチ(状況論、正統的周辺参加論、活動理論等)に基づき、様々な教育現場で出現する学びの共同体における学習プロセスや実践コミュニティについて研究する。
多様なアクター(公・共・私的アクター)の学びあいの場である実践コミュニティ(CoP: Community of Practice)の形成過程


5.PBL (Problem-based Learning or Problem Based Learning)
 ↑Passion Based Learning(内発動機型学習)by 日野田直彦

主体的な学び(Active Learning)を実現するための手法として、近年、PBL が注目されている。ただ、PBL に関する学術研究は端緒についたばかりである。フォーマル教育/ノンフォーマル教育の文脈に焦点を当てた実践的なアクションリサーチを実施することで、PBL の課題や可能性を明らかにする。インフォーマル教育

社会的包摂(Social Inclusion) としてのノンフォーマル教育インフォーマル教育


「環境システム学ゼミナール1」の内容

精選文献の輪講、ディスカッション、ワークショップ、フィールド調査、グループ研究等を中心としたゼミナール形式による演習授業で、環境学ゼミナール1では、次の2つを重点的に実施します。

①主要な学術雑誌から精選した研究論文、雑誌記事、映像資料等に対する批判的レビューを端緒としたディスカッション
②環境評価手法(例、実験法、質問紙調査法、観察法、面接法、質的アプローチ等)のワークショップ(体験を通した理解)


◎ゼミの授業計画

主として、関係文献の輪講、ディスカッション、フィールド調査、グループ研究等を中心としたゼミナール形式の演習を織り交ぜながらゼミの授業を進めます。


「環境システム学ゼミナール2」の内容

精選文献の輪講、ディスカッション、ワークショップ、フィールド調査、グループ研究等を中心としたゼミナール形式による演習授業で、環境学ゼミナール2では、次の3つを重点的に実施します。

①各自の問題意識から昇華した独自研究テーマを発掘
②単独 or グループ単位でテーマに関する研究計画を立案
③研究計画を実施し、ゼミナール論文を執筆
※ゼミナール論文はメンバー内での報告だけでなく、関連学会や他大学との交流会等の場にて研究成果を報告予定


基本的な文献の輪講&ディスカッション

(例、「環境心理学」「環境心理学の新しいかたち」、「Planet U」、「Green Frontiers」など)
⇒みんなで相談して決めます


研究・メディアリテラシーの習得

情報収集、プレゼンテーション、コミュニケーションに必要なコンピュータの利用法や図書館、WEBなどでの資料の検索方法、研究の実施、結果の分析、整理等を実践しながら習得します。


フィールド調査の実践

(例、豊洲の新市場見学、エコカフェ調査、コスタリカエコツーリズム潜入調査、カリフォルニア州立大学 RONプロジェクト参画等)


ゼミ生海外派遣100人計画

「ゼミ生海外派遣100人計画」(?)を立ち上げ、学位取得留学から、協定留学、認定留学などの訪問学生、ファームステイ、ワーキングホリデー、環境ボランティア、世界一周放浪まで、あらゆるルートで計画実現を図ります。

⇒寒冷地のカナダに行っていた反動(?)からか、なんでもアリフォルニア方面の大学が運営する比類なきソーシャルサービスや亜熱帯のキューバ、コスタリカなどの環境ガバナンスに興味がわいてきました。長期休暇を利用してそれらに短期訪問(もしくは、認定留学として本格的に訪問)するような行動力がある学生を歓迎します。様々なチャンネルを利用して、その実現に向けて支援いたします。

⇒ゼミ生のWさんが、オセアニア方面の大学に、協定留学・認定(SAP)留学で1年間、Visiting Student として留学し環境教育を勉強したいと言っていたので、調べてみたところ、 Griffith University が授業料も良心的で環境教育関連のカリキュラムが充実しているようです。大学公式HPから、授業料、入学条件、TOFELのスコア、シラバス、住宅事情などの有益な情報を得ることができます。

⇒ゼミ卒業生の諌山さんは、大学を休学して29ヶ国の世界一周に。「侍の姿で世界一周」をテーマに色々な国で日本文化をアピール?してました。

日越大学Vietnam Japan Universityは、日本とベトナムの友好と結束の象徴として設立され、東京大学、大阪大学、筑波大学、横浜国立大学、早稲田大学、立命館大学、茨城大学といった多くの日本の大学と、ベトナム国家大学ハノイ校が協力し、グローバルに活躍する人材の育成を目指しています。日本人留学生も受け入れており、授業料の約年間35万円で、現地生活費も安く、専攻の柱にサステイナビリティサイエンス(環境学)もあるため、大学院進学を希望する人の選択肢として検討してはいかがでしょうか。


マイテーマの発掘&研究活動の推進

原則として学生1人1人が各自の問題意識から醸成したマイテーマを発掘し、ゼミにおいて進捗状況などを適宜報告しながら、次年度の卒業研究/卒業論文に備えます。


過年度履修者のテーマ一覧

⇒詳細についてはメンバーを参照

・祭り、イベントが地域復興に及ぼす影響に関する研究
・地域再生の問題とその解決策に関する研究
・カリスマコミュニケーターのライフヒストリーに関する事例研究
・質的研究法を用いた就職活動の心理的な浮沈に関する研究
・サッカーが地域環境文化の構築に果たす役割
・エコツーリズムは本当に環境に良いか
・環境団体活動が環境配慮行動の促進に及ぼす効果
・環境における正義と公平性
・環境に配慮した建築材料が多用した住まい方が環境意識や行動に及ぼす影響
・景観評価の心理的な構造
・複合環境評価手法に基づく都市公園に関する評価
・景観の存在価値が地域コミュニティに及ぼす影響
・コミュニティカフェが地域社会に及ぼす影響
・ホームレスの住まい方に関するフィールド調査
・光害(ひかりがい)に対する意識と行動
・コミュニティガーデンの課題と可能性
・その他多数

※正式なスケジュール、内容等は、履修者の人数、要望などを踏まえて開講時に指示します。


卒業研究/卒業論文は、大学における学習の集大成として、自身の興味があるテーマについて深く掘り下げていく実践活動です。「研究」とは、特定のテーマについて、これまで行われた研究を調べ、データを収集し、最終的には、自分なりの結論(=研究知見)を生み出していく営みです。ただ、データの扱い方や結論の導き方に、一定のルールや配慮すべき事項が決まっています。

※卒業研究においては、テーマの選択・データ収集・分析、そして論文を書くという一連の作業に自分自身で主体的に取り組むことが重要です。もちろん、指導教員からのアドバイスは適宜受けることができますが、自分の研究である以上、自分自身の手で進めていくことが基本であることは再認識して欲しい。


卒業論文の一般的構成は、以下の通りです。
・要約(アブストラクト):全体の要約
・問題と目的:テーマについての社会的背景・先行研究、研究の目的、仮説について述べます。
・方法:データ収集・分析方法(研究協力者・道具・時期を含むデータ収集手続き、分析方法など)について正確に記述します。
・結果と考察:得られた結果を論拠として具体的に示し、そこから何らかの結論を導きます。
・まとめ:全体を要約し、研究結果の意味と今後の課題を述べます。


2022年度特設テーマ

(1)日本未来科学館と科学コミュニケーションに関する共同研究の推進
⇒2019年度から「社会技術論」(3年選択科目)の担当教員を日本未来科学館の科学コミュニケーター(池辺靖先生)にご就任していただきました。これを契機に、日本未来科学館と本学科は科学コミュニケーションに関する共同研究を推進していきます。日本未来科学館での実践的な演習などを通して、「科学コミュニケーション」「市民参加型実験」「科学技術社会論(STS:science, technology and society)」を学びます。

※「科学技術社会論とは、科学技術が社会に引き起こす問題、あるいは社会が科学技術に与える影響を、 既存の学問分野を総動員して分析しようとする研究分野、またその教育。」(出典:imidas)

協力:日本未来科学館 http://www.miraikan.jst.go.jp/


(2)みがく研との共同研究の推進
⇒ゼミ主宰者の村松が共同代表を務める「未来の学びと持続可能な開発・発展研究会(略称:みがくSD研)」と連携した共同研究を推進します。

協力:未来の学びと持続可能な開発・発展研究会 https://sdgspbl.jimdo.com/


参考文献、テキスト、参考URL

・テキストは特に指定しませんが、研究テーマごとに必読文献、参考文献は多数存在します。必要に応じて、MLやSlackを介して提供します。
・履修者はオンライン・データベース(例、CiNii、PsycINFO)等を駆使して、積極的に文献漁りに取り組むことが期待されます。


履修条件

・素朴な疑問にこだわり執着する。
・変わったもの不思議なものが好きである。
・「環境心理学」を履修することが望ましい。
・環境教育関連のテーマについて研究をしたい人は「環境教育論」「自然環境教育演習」を履修することが望ましい。
・科学コミュニケーション関連のテーマについて研究をしたい人は「社会技術論」を履修することが望ましい。
・読書好きであること(例、「びんぼう神様さま」にピンと来た人)


その他

・ゼミのコミュニティサイトをteams上につくり、基本的にすべての連絡や資料共有等は、teamsで行い、適宜、オンラインディスカッションを行います。
・ときどき、ゲスト講師を招くことがあります。
・学外(例、東京ビックサイト、都内各所など)で、面白そうなイベントが開催されるときには、そちらに見学(学外授業)することもあります。
・ときどき、環境教育系の教材やプログラムをワークショップ形式を実践して評価してます。例、省エネトランプ即興演劇サンセットウオッチなど

等々