落書き2

 他人の財産である店舗のシャッターや公共空間に掲示されたポスターに落書きすることは、決してやってはいけないことでありますが、「落書き」という行為に含まれている、大人となりいつのまにか遠い彼方に忘れてしまった、童心いっぱいの「遊び心」は捨てがたいところです。
 そんなことをうだうだと考えていると、ちょうど良い本を見つけました↓
 自分の本やノートであれば、誰にも気兼ねなく、「落書き」行為にいそしむことができるわけです。当たり前の話ではあるけれども、「コロンブスの卵」的な大発見!
「BOOK」データベースによると、
気を失いそうなほど退屈な会議や講義を耐えぬくために、このノート(いや、本?)をこっそり持ちこめばいいのです。使い方は、いたって簡単。もう印刷されている描きかけの落書きを、そのまま適当ーに、好きなように完成させればいいのです。欧米では、一人に一冊、誰もが描いてる「DOODLE(ながら落書き)」、ついに日本初上陸!!!

 ただ、教員として、「気を失いそうな講義」の提供者にだけはなりたくないのですが・・・ 以前に、環境教育の一種である、「ネイチャーゲーム」を小学生とやったときに、ある小学生が配布資料に、「おねーちゃんゲーム」という意味(?)で、”おねーちゃん”のイラストを落書きしているのを見かけたとき、不覚にも笑ってしまったことがあった。あった。

 五味太郎さんの「らくがき絵本」「らくがき絵本 (Part2) 」をご存じでしょうか?子どものころお世話になった人、自分の子どもの読み聞かせでお世話になった人もいらっしゃると思います。
 今一度、リンク先の「本の画像イメージ:」をよ~くみて下さい。
 作者名が「五味太郎」でなく、それぞれ「五味太郎50%」「五味太郎25%」と書かれていることに気がつきました?
 この絵本は、単に読むだけの絵本でなく、参加することで、完成する、いわば”参加型の絵本”なのです。作者の五味太郎さんは、50%、25%しか関わっておらず、読者がこの本に「落書き」することではじめて、本が100%になる(完成する)わけです。
 神戸芸術工科大学教授の大塚英志さんが、世界で前例がない「まんが表現学科」を手探りで立ち上げた体験的ヒストリーを「大学論──いかに教え、いかに学ぶか (講談社現代新書) 」に上梓されているのですが、
 その中で、大学教育とは、教員から授けられるのではなく、”五味太郎25%”的に、学生と教員が協働してつくりあげていくことに、教育の真髄があると指摘されています。
 このことは、まんが表現学科でなくとも当てはまることであり、まさに「御意なり」です。

らくがき絵本

らくがき絵本 (Part 2)

大学論──いかに教え、いかに学ぶか (講談社現代新書)